ご挨拶
主任教授 上條 義一郎
令和3(2021)年4月1日付で獨協医科大学埼玉医療センター・リハビリテーション科主任教授を拝命いたしました。謹んでご挨拶申し上げます。
リハビリテーション医学は英語で“Physical & Rehabilitation Medicine”と呼び、体力を強化するという意味が含まれます。従来のリハビリテーション医療は、機能を回復する、障害を克服することと捉えられていました。しかし、現在ではこれらを踏まえつつ人の営みの基本となる「活動を育む」こと、というプラスの思考に変わっています。脳血管障害により片麻痺が残存したとしても、日々の訓練により歩行を自立させ活動性を今よりも上げていく、ということです。そのために当科では、臓器別医療の枠にとらわれずWhole Bodyの観点から、患者の「全身を診る」ことを基本とし、適切な医学管理のもと患者さんの早期離床を進め、可能な限りの高強度・高頻度負荷をかけ、患者さんの日常生活動作や生活の質(QOL)の改善を目指します。病気やケガの状態、社会的背景は患者により異なります。我々は、担当診療科医師や療法士、看護師、薬剤師、栄養士、義肢装具士、などと連携を図り、患者にとり最良のリハビリテーション医療を実施して参りたいと思います。
従って、教育では、上記のようなリハビリテーション医療を担う専門医の育成に努めます。患者の予後改善のためにどのような治療を実施していくか、自由に意見を出し合えるような科にしたいと思います。
また、大学院生の研究指導も進めます。臨床現場で起こる問題の多くは教科書やガイドラインでは解決できません。他に良い治療方法があったのか、常に疑問を持つことが研究へ発展します。臨床で得られたデータを英語論文にまとめ上げる過程には大変な労力が必要です。いかに読み手に自分らの考えを伝えるか、その反復が一医療人の経験値と能力を高めると信じています。
もとより微力ではございますが、当センター、本学の発展のために全身全霊を注ぎ努めて参ります。何卒、ご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。